CAFE BARNEY

バルネの伴奏

角を曲がると見えてくる、フランス国旗が目印のその店。

扉を開けると、淡いライトの店内に流れる甘くて洒落たレコードのBGM。「今日の一杯目はどれにしましょうか?」と、店主が僕のテーブルにワインボトルを持ってくる。

さて、何にしようか。酸味のきいた「白」にオムレツなんて最高だろうな、なんて想像しながら今夜のオーダーを決める。この温かな空間にただよう想いを聴いてみた。

(原田さん)

フランスの世界感が好きで、お店の雰囲気もそれっぽいのかな。そこにワインと、気の利いたおつまみと食事。そして良い音楽があること。それがうちのコンセプト、というか雰囲気かな。お店に入るとまずカウンターに並んでいる自然派ワインのボトル、次に奥のレコードとDJブースが目に入ると思います。

ワインに関して言うと、このお店を始めるまでは正直全く詳しくなかったんです。最初は、料理を担当してくれている彼女にいろいろな種類を薦めてもらいながら勉強しましたね。もともとレコードをコレクションするのが好きだったので、集めるという意味ではその感覚に近いものがあって、飲んでいくうちにはまっちゃって。いつしか店での仕入れやお客さんへの提供も僕が引き継いでいましたね。

(美加さん)

お店を出す前に少しワインの勉強をして、最初のころは料理をやりながらセレクトもしていてたんですよ。でも途中から彼に引き継いで、私は料理に集中することになって、これが一番このお店にしっくりくるって思うんです。音楽も聴くのは好きだけど詳しくないので、カウンターの外で彼が時々に合う音楽を選んで、お客さまの雰囲気をみて接客したりワインを選んだりできるこのかたちがいいのかなって。お互いの性格を考えると本来逆なんですけどね (笑) でもこれがいいんです。

(原田さん)

「人」を飲んでいる。自然派ワインを飲むとそう感じるんです。個性的というか、独特というか。機械や酸化防止剤を極力使わない作り方をしているというのは、ぶどうの力だけで作っているということ。だからその味が素直に出ている。そういう「人」の個性を飲んでいる感覚が面白いなって。

個人的には、少し変わった味というか、万人受けはしないけれど好きな人はすごく好き、みたいな「攻めている」ワインがいいです。ただ取り扱うものが自分の趣味に偏りすぎるのは良くないので、彼女が出す料理とのマリアージュも大切に、バランスをとっていますね。

ワインや食べ物、音楽にしても、やっぱり熱量がないと伝わらないと思うんです。「体温」がないものってつまんないじゃないですか。ファストフードやチェーン店にはない温かみが個人のお店にはある。でもそれって1回行っただけじゃ分からないときもあると思うんです。飲食業の先輩から言われたのが、新しいお店がオープンしたときに1回行っただけじゃ判断しちゃいけない。3回行きなさいって。想いもってやっているところだったらね、分かると思います。

CAFE BARNEY
住 所: 東京都渋谷区富ヶ谷1-2-12 田崎ビル1F
電 話: 03-6407-1393
時 間: 17:00 ~ 翌01:00 (平日)
     15:00 ~ 翌01:00 (土日祝)
定休日: 火曜、第2水曜

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都会の真ん中にありながら活気と哀愁が同居する富ヶ谷の商店街。その裏道にこっそりと佇むCafe Barney。ここでワイン通になった、この店でレコードの良さを知った。そんなふうに、バルネとの出会いは、あなたの知らない良いものとの出合いなのかもしれない。原田さん夫婦のつくる美味しすぎるオムレツとワインのマリアージュをぜひ一度、もう一度。そうやってバルネは、あなたの「誰にも教えたくないお店」になっていくのかもしれない。

Text by Naoki Yasuda / Photo by Taiga Kato

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