BUBBLES

フルーツを気軽に飲む毎日

かんかん照りの青山一丁目。どこかで一休みしたな。

「あ、あそこあるな」と向かった先は、フルーツに彩られたシャープな佇まいのバー。とてもクールなお店なのだけれど、カウンター越しに生まれる会話は暖かいのだよ。

バーテンダーというよりも”近所のお兄ちゃん”な奥本さんがつくるレモンサワー。その一杯に注がれた想いを聴いてみた。

バーで働いていると、たまにお酒が飲めない人もいるんですよね。そんな人からオレンジジュースを注文されると、出来合いのものを出すしかないんです。何もこちらの手間暇はかかっていない。そのときにすごく自分の存在意義を考えてしまうんです。

でも、フルーツにこだわっているところで働くってなると、銀座の格式高いバーやホテルのバーくらいなもので、そこにしたってカクテルっていう一つの作品として仕上げるっていうスタンスなんですよ。

そうじゃなくて、もっとカジュアルに、オーダーが入ったらガガッてつくって「素材の味だけどうぞ!」みたいな感じで提供したかった。だから名前も「イエロー〇〇」みたいなものじゃなくて「レモンサワー」、スタイリッシュだけどやっぱりカジュアルがいいなと。


もう16年ほどバーでお酒をつくっているんですけど、すごく苦手なことがあるんですよ。いわゆるバーテンダーって「こんな作品を仕上げた俺、どう?」みたいなスタンスで、同じ業界の人間と競い合ってばかりいる。でも、結局のところ受け取った側がどう判断するかが大切だと思っているので、僕にとっての渾身の一杯を評価してもらいたい相手はお客さんです。カクテルコンテストみたいなものはエンターテインメントとしては面白いし、ホテルのバーで働かれている方たちの動きや手さばきっていうのは綺麗ですけど…職人魂的な部分も持たなくちゃいけないけれど、やっぱり柔軟さが必要だと思いますね。

そういう意味で、このお店は本当に気軽に楽しめる場所にしたかった。三角形のちょっと変わった物件ですが、イメージしていたアイランドバー (*1) に近いものが作れました。

コミュニケーションが生まれやすい造りになっていて、例えば僕が正面カウンターの人と喋っていて、振り向いて奥のテーブル席の人とも会話していると、自然にその人たち同士で会話が生まれたりすることもあります。ここで知り合った男性2人が一緒に合コンに行ってきたっていう話もあったり (笑) 

あと、昔からこのあたりに住んでいる人に「こういうのが欲しかったんだよ」って言ってもらえたりすると、やっぱり嬉しいですね。

(*1) お酒の並ぶ棚を円形のカウンターが囲むハワイなどの南国が発祥のスタイル

一見血が通っていなさそうに見えるけれど、この街にも住んでいる人や働いている人がいるんです。これからもそういう人たちに向けてできるだけ気軽にジュースを飲める場所をつくっていきたいですね。代官山なんかには、一杯1,000円で売っているジュースはありますけど「誰が買うねん!」って
(笑) 日常的に買える人は限られていますよね。そうじゃなくて、できるだけ低価格で毎日飲めるものを提供していきたい。

かといって値段でコンビニの商品に勝てるとは思っていないので、やっぱり”搾りたて”っていうところやちょっとした会話なんかが大事になってくると思います。そうやって続けていって、「今日暑いね、あそこあるじゃん」くらいの感覚で来てもらえるような、日常に溶け込めるお店になっていったらいいですね。


BUBBLES
住 所: 東京都港区南青山 1-3-27
電 話: 03-6434-0480
時 間: 08:00-翌01:00
定休日: 日曜

- - - - -

青山一丁目、オフィスが立ち並ぶシャープな街を歩いていると、ふと二度見してしまうお店があります。一杯ひっかけるにはちょうどいいんだな、これが。お店の前には道路と幅広な歩道が敷かれていて車や人の行き交いが常にあるため、お店の雰囲気にも常に動きがある。仕事終わりの会社員が帰りのバス待ちの間にビールを一杯飲んだり、近所の人がふらっと寄って小話をしていったり。この気軽さがBubblesにはあります。店主の奥本さんがつくる搾りたてのジュースを、肩肘張らず毎日飲める人生って幸せなんだろうな。

Photo & Text by Taiga kato

All credits go to OUR STUFF.