DAVIDE COFFEE STOP

碧にエスプレッソ

青色の格子戸をひいて中に入ると、カウンター奥のいつもの場所にダビさんがいる。

朝の光がまぶしいその時間に飲むのは、もちろんエスプレッソしかない。

ダビさんの見たこと、感じたこと、考えたことが溶け込んだ碧色カップの一杯に注がれた想いを聴いてみた。

こんなターコイズブルーのカップで、コーヒーの茶色い液体を出すところって中々ないでしょ。お店を開ける前、カリフォルニアに行ったとき、まるまるこの色の建物を見つけたの。それがもう街に映えていて、頭に残った。だから、あの碧がつくり出していた印象をこの店でも出せないかなと思ったんだよね。それでカップはもちろん、お店のいろいろなところにこの碧を使っている。

実は、もともとこの色が好きってわけじゃない (笑) だけど、こういう色に囲まれて働くのもね、なんかいいよね。

このエスプレッソで使っている豆はブレンド。これは店を始めるときに、Caffe Vita (※1) の門脇裕二さんと一緒に作ったものなんだよね。バンクーバーにある49th Parallelっていうロースターで飲んだ浅煎りのエスプレッソの印象がベースになっている。 フルーティで美味しいだけじゃなくて、カフェラテにしたときにミルク負けしないように、ボディがバチっとくるものを作りたかった。

裕二さんからサンプルが送られてきて、俺が意見を言うっていうプロセスを繰り返して、最終的に候補が2つに絞られた。最後は島根県まで行って、自分で調整して抽出して。飲んだあとに『せーの』で二人が指さしたのがこのエスプレッソ。

エスプレッソ用にブレンドを作ったこともあって、ここではドリップはやってない。これまで働いてきたお店ではエスプレッソ一本だったからさ。まあ、ぶっちゃけドリップが性に合わないっていうのもあるけど (笑)

※1 島根県松江市にあるコーヒー店


コーヒー屋で働いている人からすると意外かもしれないけれど、俺はスケールを使わない。秒数と、あと液体の色で判断する。自分の目で見て、味が出るのはここまでだなっていうのを見極めてベストな状態で提供する。普通ではなかなかできないことかもしれない。

例えば、JBC (※2) で推奨されている抽出時間は20〜30秒だよね。でも俺は、50秒だろうが2分だろうがカップの中身が美味しければいいと思うの。自分が思う「コーヒーの味」っていうのを、バリスタ個人々々が追求するともっとコーヒー業界も面白くなるかな。やっぱり人柄ってカップに出るし、出ていいと思うよ。

※2 ジャパン バリスタチャンピオン シップ

お店にも人柄は出るよね。このカウンターもそう。昔バーテンをやっていた頃からカウンターが好きでさ。あとアメリカ西海岸の知らない街を旅するときとか、面白そうなやつがカウンターにいる店を見つけると入りたくなったり。そういう俺がいいなと思うものでこのお店はできているんだよね。

カウンター越しに対面しているときは、お客さんは入ってこないし、俺も外に出ていかない。その暗黙の了解があるからこそ密な関係になれる。例えば、冬場に「ラテ、少し熱くしようか?」とか言えるだけで違うじゃん。そういう関係が築けるとやっぱり印象は良くなるよね。

そういう雰囲気を作ることができれば、お客さん同士での会話が生まれたりもするよね。赤の他人だった人たちが仲良くなって、あるとき一緒に来たり。そういうことも含めて、うちのお店なんだよね。

DAVIDE COFFEE STOP

住 所: 東京都台東区入谷 2-3-1
電 話: 03-6240-6685
時 間: 11:00-22:00 (火〜土)、
     11:00-19:00 (日)
定休日: 月曜

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松下大介さんは、入谷のコーヒースタンド「DAVIDE COFFEE STOP」のオーナー兼バリスタ。「ダビさん」の愛称で呼ばれることも。「同じものはつくりたくない」という彼が、これまで国内外で感じた「良い」を落とし込んだお店は、ターコイズブルーが散りばめられたどこか海辺を思わせるゆったりした空間になっている。ラテをはじめとする豊富なエスプレッソドリンクに加えて、スムージーやアルコール類もグッド。注文をして何気ないやりとりをしながら、ダビさんがドリンクをつくるのを眺める。なんというかそういう”安心感”こそが、このお店にわざわざ足を運びたくなる理由なのだろう。

Photo & Text by Taiga Kato

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